Bread Making新しいパンをつくる

たくさんの笑顔のために、日々挑戦する。
それが“どんぐり”のパンづくり。

"どんぐり"には毎日数えきれないほどのパンが並び、毎週のように新しいパンが誕生しています。
それは、お客さまがいつ訪れてもワクワクしながら楽しんでパンを選べるようにと
長い年月をかけて育んできた“どんぐり”の大切な文化。
ここでは、そんなどんぐりの「新しいパン」の開発について本部の本間真一さんにお話を伺いました。

"どんぐり"といえば年間で500種類を超える新作のパンが生まれますが、どのように商品開発を進めているんですか?

“どんぐり”では本部が新商品を考えて、各店舗に指導をしているわけではないんです。大袈裟な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、スタッフみんなで新商品を考えています。各店舗それぞれが新商品を考えて、私たち本部はレシピ確認や新たな原材料の調達などでサポートしています。だから、スタッフによって商品開発へのアプローチも違うはずなんですよ。

例えば私の場合は、商品開発をすることが日常になっているのでスーパーに買い物にいったり、家族で外食に出掛けたりすると何かにつけて「これはパンにできるか、商品化できるか」という目線で見てしまいます。テレビを見ていても「これは使えそうだな」と思うことが結構あって…そういった生活のなかで出会う発見をストックしておいて、新商品を考えるときに使えるようにしていますね。そのほかにも情報源としては、会社から本の購入を助成する制度があるので参考になりそうな本を探して買ってみたり、インターネットでInstagramやCOOKPADを見るなど、日常的にヒントを探すようにしています。でも、基本的には実際に何度か試作してみないと分からないことが多いんですよね。

商品開発は新人さんやパートさん、販売スタッフも関わることができるんですか?

基本的には“どんぐり”のスタッフであれば誰が考えてもOKです。新人さんでも、パートさんでも、販売スタッフが考えたものを製造スタッフが形にすることもあるんですよ。

会社として商品開発をする時期は、入社2年目に市内のパン屋さん巡りをした後と、4年目に東京研修をしてからの2つが決まっている程度です。あとは、かなりランダムなんですけども季節限定のフェアが企画されたら、そこに向けて部署ごとに1品ずつだったり、社員1人1品ずつ…といった感じでアイデアを出し合っていますね。それ以外にも、思いついた時にいつ作ってもいいんです。今後も定期的に商品開発の機会をつくり、会社全体で盛り上げていきたいと考えています。

社員全員で考えるとなると、相当な数の商品数になりますよね?

そうですね。今、使われていないレシピも含めるとデータとして残っているのは、この3〜4年だけで3,700を超えています(2023年5月現在)。正直、誰も正確には把握できていないんですよ。

商品数のほかに他社との違いはありますか?

“どんぐり”は安心・安全なことはもちろん、家庭的な美味しさを目指しているので手作りで具材をつくることが多くなっています。この点が他のパン屋さんでは少ないことなのかなと思います。

今、私の仕事のひとつとして業者さんから工場でつくられた野菜や肉などの出来合いの加工食材を紹介してもらって、“どんぐり”で使うかどうかを判断する役割があります。そのため自然と試食する機会が多くなるんですが、実際に食べてみると「これは、あのお店のパンで使われている具材だ」と気づいてしまうことが結構あるんですよ。そう考えると、やっぱり作業効率を考えて出来合いのものを多く使っているお店は、良いアイデアが思いついたとしても美味しさに限界があるのではないかなと思いますね。どうしても使っている具材の味を超えることはできませんから。

その点、“どんぐり”は自家製具材をつくることが当たり前になっているので、今までパンになっていなかった食材にもチャレンジできますし、新しい食材の組み合わせを考えることもできる。そういった企業風土で、誰もが商品開発ができるっていうのは本当にお店として大きな強みですよね。もちろん原価だったり、手間の部分で考えなくてはならないことはありますが、これからも具材の美味しさにはこだわっていきたいと考えています。

具材をつくる上で欠かせない野菜についても、“どんぐり”ならではのこだわりがあるんです。冷凍のものは使わずに、生の野菜を仕入れて使っています。やっぱり生の味にはかなわないんですよ。美味しい方を優先的に使うという考え方は、“どんぐり”のポリシーですね。

そして、この野菜を洗うときにもこだわりがあって塩素は使わないようにしています。手間を考えても、衛生的な面でも塩素を使った方が簡単なんですが、“どんぐり”として家庭で使わないものは使いたくない。そのために菌の専門家に相談をして、塩素を使わない方法で野菜を洗浄しています。簡単に説明すると、しっかり洗浄してから5度以下に冷やすと菌数が抑えられるんです。そうすれば衛生面での課題もクリアできて安全な状態でお客様に提供できる。安心・安全に美味しいパンを食べてもらうための最低限のこだわりだと思っています。

もうひとつ安心・安全という点でお話しすると、“どんぐり”では使用禁止の食材が5品あるんです。まず、アレルギーという観点から蕎麦と落花生は使っていません。あと人工着色料ですね。色を付けるとしたら天然由来のものを使うようにしています。その他にも発がん性の危険があるといわれているソルビン酸が入った加工品は使っていないんです。実はソルビン酸を使っていないソーセージやサラミって意外と少なくて選ぶのが結構大変なんですよ。最後に納豆菌。これはイースト菌と喧嘩しちゃうといわれているので使わないようにしています。

商品開発をする上で美味しさはもちろんですが、利益についてはどのように考えているんですか?

“どんぐり”って、そのあたりについてはガチガチには決まっていません。一応、レシピを考える上で原価率や材料費の基準は決まっているんですが、最近は原料の値上がりが激しいので、いくらまでだったら自分は買うのかという消費者目線で考えてパンづくりをすることもあります。だからというわけではありませんが、ある程度、店舗ごとの業績に見合っていればOKという考え方で新商品をつくっていますね。

もちろん原価の高い商品ばかりだと経営が成り立ちませんのでバランスを取りながら考えてもらっています。商品開発の基本的な考え方としてはお客様に喜んでもらえる、買ってもらえる、食べてもらえるということが第一。さらに自分たちが美味しいと思えて、買いたいと思えることが重要かなと思います。

話は変わりますが、本間さんご自身はこれまでどのような商品の開発に関わってきましたか?

数が多過ぎて、ちょっと分からないです。今は、各店舗が考えた新商品のレシピをチェックする業務も担当していて必ず目を通すので、そういった意味では最近の商品全てに関わっているといえるかもしれませんね。

お恥ずかしい話なんですが、正直にお話しすると入社当初、商品開発が苦手だったんです。だから失敗も多くて、とんでもないパンを作ってしまったり…色々な失敗を重ねてきました。

それから色々と勉強をさせてもらって、経験も積んでいくうちに人気商品を手掛けることができました。今でもたまに店頭に並んでいるんですが、「たっぷり3種のチーズとフォンデュソースのピザ」。これは価格が許す限りチーズを乗せたらどうなるんだろうという好奇心から生まれたもの。

あとは食パンが余ってしまった時の加工品で「チーマヨ醤油トースト」。これはB級グルメの本で、チーズとめんつゆと胡椒とマヨネーズを合わせたらステーキの味になるって書いてあって試してみたんです。実際、全くステーキ味ではなかったんですが、パンとしては美味しくて今でも店頭に並んでいますね。この他にもパンではないんですが、「22品目の楽しい食感サラダ」。これはとにかく食感が楽しくなるような具材を合わせてみたら社内で好評で、販売も好調みたいです。

今お考えのアイデアはありますか?

次にオープンするお店では、サンドイッチをメインに推していこうという話になっているので、その商品を開発中です。店内についても、これまでのパン屋さんはパンをつくるところを見せるオープンキッチンのお店が多くありますが、”どんぐり”がやるならパンやサンドイッチに使う自家製の具材をつくるところを見せても面白いんじゃないかと社内で模索中です。

色々なことに挑戦しているんですね。他にも新たに取り組んでいることはありますか?

そうですね。やっぱり世の中の移り変わりが激しいので商品開発も含めて、常に新しい挑戦を続けていかないとお客様にも想いは伝わりませんし、企業としても成長していかないと思っています。今であればSNSで「映える」ような商品はお客様に伝わりやすいですよね。

その他にも色々なところにアンテナを張り巡らせながら流行を取り入れつつ、それらを“どんぐり”がアレンジしたらどうなるのかということにも日々、挑戦しています。できれば“どんぐり”が流行の発信源となるような新しい商品がつくれたら…なんてことも考えています。

会社として最近では、おむすびのお店にチャレンジしました。これからカレーライスのお店をつくるかもしれませんし、新しいスタイルのカフェをやるかもしれません。現時点で決まっていることとしては、キッチンカーの購入です。色々なところへ出向いていって、“どんぐり”の美味しさを発信していけたらいいですよね。

まだまだ構想段階なんですが、会社として海外での出店にチャレンジしたいと考えています。出店するとなれば現地に合わせた商品開発が必要です。水の質も違えば、手に入る材料も違う。これまで培ってきた常に新しい発想で挑戦していくことが、海外でも活きてくるのではないかと思っています。こんな感じで“どんぐり”としては、様々な可能性を模索しながら日々挑戦を続けています。

お話を伺っていて気づいたんですが、"どんぐり"の商品開発の根源にあるのは、まさしく「挑戦」ですね。

ずっと働いていると商品開発への姿勢にしても、日々の業務にしても、自分の会社の良さって当たり前過ぎて忘れてしまいがちですよね。以前、社内で“どんぐり”という会社は、どんな会社なのかというテーマでディスカッションした時に、改めて社長が「新しいことへの挑戦」ということを常日頃から口にしているってことに気付かされたんです。知ってはいたけども意識はしていなかった。それくらい当たり前になっているんでしょうけど、これからは自分自身のことだけでなく、会社の取り組みも、後進の育成も「挑戦」を強く意識しながら続けていきたいと考えています。

取材当日に試作していた炊き込みご飯。どんな商品になるんでしょう。

本部 製造チーフ 本間真一

製造の各部署を経て、現在は本部で各店舗から送られてくる新作レシピのチェックや具材の管理など、多岐にわたる業務を担当。好きなパンは、年齢とともにフィッシュサンドやサラダといったアッサリ系にシフトしているとのこと。